職場で万年筆を使っているとほぼほぼ二度見される、よっしー(@yossy_y0211)です。
あなたがお持ちになっている万年筆で次のような困ったことや要望はありませんか?
- 落としてしまい、ペン先が曲がってしまった
- インクが固まって書けない
- ひっかかりを感じる
- 字幅を太くしたいor細くしたい
こういった万年筆の不具合解消や要望に応えてくれるのが、ペンクリニックという素晴らしいイベントなんです。
- ペンドクターと呼ばれる万年筆専門のお医者さんに無料で調整してもらえる
- 開催時期は不定期で主に大きな文具店・雑貨店で行われる
- 購入した場所やメーカーは問わない
※ただし、開催場所によっては国内万年筆限定・メーカー限定といった制約があることも……
ペンクリニックの流れは次の通り。
- 事前準備:調整してもらう万年筆を準備する
- 受付:調整が必要な万年筆のメーカー等記入
- ペンドクターと対面で調整してもらう
今回は、愛用の万年筆をペンクリニックで無料調整してもらった時のことを書いていきます。
ペンクリニックは無料!調整してもらう万年筆を準備する
MONTBLANC(モンブラン)とセーラー万年筆のインクフローが渋い
今回、ペンクリニックで調整してもらうのはこの2本の万年筆。
- モンブランマイスターシュテュック149 14C 3帯(中古品)
- セーラー万年筆プロフェッショナルギアΣ レアロ(新品・未使用品)
どちらもメルカリで購入しました。
リアル店舗でちゃんと試筆して買うのが1番!
ですが、僕のお小遣いでポンッと買えるほど安いものではありません (涙)
気になる書き味はどうかというと、
はい、微妙ー!!

そもそも、書き味バッチリだったら調整してもらおうなんて思いません……。
どんなところが微妙かというと
- 書き始めにかすれる
- 書いている途中にインクが出ない
- インクフローが渋く、書いた線が細すぎる
- コピー用紙のように少しざらざらしている紙にインクがのらない
つまり、どちらもまともに書けないということです……。
MONTBLANC(モンブラン)万年筆で受付票に記入
開始時間の30分前に現地に到着し、まずは受付。
受付票に記入する際、モンブランの万年筆を渡されました。
緊張しましたよー。
落としたらどうしようとか、傷をつけてしまったらどうしようとか。
慎重に受け取り、受付票に氏名と調整をお願いする万年筆のメーカー・品名を記入しました。
普通、受付票ってボールペンで書きますよね?
なぜ、万年筆で書くのかというと、筆跡からその人の筆圧の強さや筆記角度が分かるからだそうです。
万年筆で書いた受付票の筆跡が、のちにペンドクターによる調整につながるんです。
ここで気になっていたことを受付の方に聞いてみました。

モンブランの万年筆なんですが調整していただけますか?

はい、大丈夫ですよ
ペンクリニックが開催されるところによって国内万年筆・メーカー限定といった制約があって調整してもらえないことがあるんです。
今回、開催されたこの文具店ではそういったお知らせがなかったのですが、念のため聞いてみました。
心配な方は事前に電話で確認しておいたほうがいいかも。
ペンドクター川口明弘氏と対面で万年筆を無料調整してもらう
受付を終えて、20分ほど待った後、いよいよ僕の番がやってきました。
万年筆を調整してくださったのはペンドクターの川口明弘氏(以下:川口先生)。
川口先生のプロフィール
昭和22年10月7日,鹿児島県川内市生まれ。
昭和46年,セーラー万年筆株式会社入社
万年筆のデザイン,生産開発に携わる。昭和62年頃よりペンドクターとして全国の百貨店,文具店をまわりペンクリニックを行う。
25年間で約20万本の万年筆の修理調整を行う。平成24年3月セーラー万年筆株式会社退社
平成24年4月~
~川口明弘の調整万年筆より引用~
郵送で万年筆の修理調整を受付けている。
ペン先調整を施した万年筆の販売を行っている。
全国の文房具店をまわり、ペンクリニックを行っている。
いかにも職人といった感じですが、話してみると気さくで優しい!
万年筆ユーザーだったら知らない人はいないのではないかと思うくらい有名な方です。
ペンクリニックは写真撮影しても大丈夫?
ペンクリニックでどうしてもやりたかったことがあるんです。
それは、写真を撮ること!
勝手に写真を撮るのは失礼極まりなく、そもそも写真撮影OKなのか分からなかったんですよね。
そこで、川口先生に直接聞いてみました。

よろしくお願いします!
すみません、調整されているところを写真撮らせていただいていいですか?

変なところに載せるなよ

大丈夫です!
ありがとうございます!

(変なところってどこだ?)
変なところ?に載せないことを約束し、撮影許可をいただきました。
自分の万年筆が調整されているところを写真に残しておきたいと思いませんか?

条件付き(変なところに載せない)であれば撮影OKかもしれませんよ。
勇気を出してペンドクターに聞いてみましょう!
初めてペンクリニックに参加する方は緊張しますよね。
「ペンクリニックが初めての方へ!参加経験者が素朴な疑問を解決します」の記事で初めての方が疑問に思うことを1つずつ答えてますので興味がある方はぜひご覧ください。
MONTBLANC(モンブラン)マイスターシュテュック149の調整
まず最初に診ていただいたのは『モンブランマイスターシュテュック149』。
この万年筆の調整してほしいところは以下2点。
- 書き始めにかすれる
- 書いている途中にインクが出ない
まず、ルーペでペン先をじっくり確認。

これ、どこでこうたん?

メルカリで買いました

この万年筆は前の人の書き癖が全然ついてない
いい買い物したのぉ
何言われるか内心ドキドキしていたのですが、まさかの褒め。
最近、万年筆をネットで買う人が増えているらしいです。(そりゃあ、安いもんね)
その後、目の細かいサンドペーパーのようなものに、ペンポイント(先っちょの部分)をスリスリ。
ルーペで確認されてはまたスリスリ。
これを数回繰り返して、わずか数分で調整が終わりました。
書いてみると、調整前との違いは歴然!!
書き始めからまったくかすれることもなく、途中でインクが出ないこともなくなりました。
筆圧をまったくかけなくても紙の上をスーッと滑るように書くことができるんです。
川口先生曰く、筆圧をかけなくても筆記できる状態が正常の万年筆とのこと。
いつまでも書いていたい気持ち良さです。
セーラー万年筆プロフィット30周年記念ブライヤーの調整
2本目の万年筆を取り出そうとしたその時、川口先生がおもむろに僕のペンケースから1本の万年筆を取り出しました。
何も言わずにスッと(笑)
その万年筆とは『セーラー万年筆プロフィット30周年記念ブライヤー』(現在は販売終了)
実はこの万年筆、川口先生ご自身が開発・販売に携わっていたものなんです。
久しぶりに我が子に会った親のような感覚だったんでしょうね。

最高の万年筆にしてやる
この言葉にやられてしまいました。
調整中、いろいろなお話を聞くことができました。
- 1,000本売りさばいたこと
- ブライヤーの数十年後に価値が上がると予想していること
- ご自身も同じ万年筆を使っていること
特に嬉しかったのが、川口先生の『プロフィット30周年記念ブライヤー』を使わせてもらったこと。

興奮のあまり、比較写真を撮ることを忘れてしまいました……無念。
約3年使われているそうで同じものとは思えないほど黒く、艶があるんです。
(下の写真右下)
万年筆を見ただけで使い続けているのがよく分かるくらいオーラがハンパない。
書き味に関しては、何とも言えないヌラヌラ感で紙の上を一切摩擦を感じることなく滑っていくんです。
通常、万年筆は使っている人の書き癖にあった形にペンポイント(先っちょの部分)が磨耗していきます。
その為、普通は他の人が使うとインクがかすれたり、ひっかかりを感じたりするものなんですが一切ありませんでした。
川口先生の万年筆を使った瞬間、

この万年筆と交換してください!
と言ってしまいそうになりました(笑)
調整が終わり、いざ書いてみると川口先生の万年筆に負けず劣らず素晴らしい書き心地。
この万年筆は特に調整は必要ないかなと思っていましたが、調整後はまったく別物でした。(良い意味で、ですよ。)
調整前も筆圧をかけなくても書くことはできたんですが、調整後はインクフローがさらに良くなり、多少角度を変えてもかすれなくなったのです。

んー、言葉でうまく表せないのがもどかしい……。
セーラー万年筆プロフェッショナルギアΣ レアロの調整
最後に調整をお願いする万年筆は『セーラー万年筆プロフェッショナルギアΣ レアロ』。
この万年筆の調整してほしいところは以下2点。
- インクフローが渋く、書いた線が細すぎる
- コピー用紙のように少しざらざらしている紙にインクがのらない
また同じようにルーペでペン先をじっくり確認。

これもネットか?

そうです!
新品を買いました

これはあんまり良くないのぉ

やっぱりですか!?
買った当時、インクを入れた書いた瞬間、「これハズレやん!」って思いましたもん……。
新品だからといっても必ずしも良いもの=調整不要とは限らないんです。
さっきと同じようにサンドペーパーのようなものに、ペンポイント(先っちょの部分)をスリスリ。
切り割り(ペン先にある縦筋の部分)を広げてルーペで確認されてはまたスリスリ。
これもわずか数分で調整が終わりました。
調整していただいた結果、インクフローも申し分なく、線の太さも大満足!
インクがのらない問題も、コピー用紙(←持参したやつ)に書いて確認したところ、バッチリでした。
すべての調整が終わると川口先生がこんな感じに押印してくれます。
無料の万年筆ペンクリニックレポートまとめ
ペンクリニックに参加したのは今回で3回目なんですが、毎回ドキドキ・ワクワクします。
いずれもペンドクターは川口先生だったんですけどね。
調整前と調整後では比べものにならないくらい心地良い書き味に変わります。
本体の重みだけで書くことができない万年筆は本来の姿ではありません。
筆圧を一切かけなくても書けるのが正常な万年筆なんです。
ペンクリニックに参加した方の不満・要望を正確に汲み取り、調整で万年筆に反映するあたりがペンドクターは万年筆調整のプロであると同時にコミュニケーションのプロでもあると改めて感じました。
あなたがお持ちの万年筆について、次のような困ったことや要望はありませんか?
- 落としてしまい、ペン先が曲がってしまった
- インクが固まって書けない
- ひっかかりを感じる
- 字幅を太くしたいor細くしたい
もし、お近くでペンクリニックが開催されるのであれば、ぜひ参加してみて下さい。

万年筆が劇的に生まれ変わりますよ!
コメント